病気ピックアップ

最近の医療に関して思うこと。

改めて、日々の医療を振り返ってみると、リハビリ医療に携わっている関係もあるのでしょうか、私が医師になった40年前にはなかった、運動器不安定症、ロコモティブシンドローム、老嚥、サルコペニア、フレイル、老年症候群といった病名に接することが多くなりました。また、その治療法も医師・歯科医師のみではなく、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、栄養士、薬剤師、社会福祉士等の集団医療になっております。ところで、このような病名の症状は、昭和の時代にはなかったのでしょうか?いえ、今と変わりなくありました。ただ、医療が担う症状とは誰も考えておらず、病気という対象とはならない、当たり前の老化現象として取り扱われていたのです。

それが、近年、医学の進歩に伴い、癌や脳疾患、その他のメジャーな死に直結するような疾患の治療法が確立されてきた結果、当たり前と思われていた老化や廃用といった状態が社会的問題をおこす治療対象ととらえられるようになってきました。
実際、それらの疾患が私たちの日々の生活を左右する一番の障害となっています。そのため、いかに老化を抑えるかが基本となりますが、わかってきたことは、生活に必要な筋力・持久力は、日々の生活で意識することで維持することが容易である一方、入院治療等の安静で一気に進んだ廃用(老化)は簡単には回復しないということです。おそらく、独歩で歩いている方が、日々の生活の中で、単純に楽して歩くのではなく、意識的に下肢に力を必要以上に入れて、左右のバランスに注意をむけた歩容や、背もたれに頼らず、体幹筋で座位を保持するといったこと(いわゆる生活の中での自主リハビリ)を一日に数回行うだけで、日々生活を行える健康を維持できるものと考えます。
以上が医療の最先端と私の思うところです。皆さまが、日々すごされている生活の中で、脱老年症候群、脱サルコペニア、脱フレイルを意識することで、末永く、生活の基盤である個々の健康を維持していただきたく思います。

けいなん総合病院
整形外科部長
山岡 茂雄

掲載日:2026年01月30日