季節の病気

骨粗鬆症

高齢者に多い大腿骨近位部骨折や胸腰椎圧迫骨折は骨粗鬆症のある方が転倒して受傷されることが多く、骨折により介護が必要な状態となる場合も多いので、骨粗鬆症治療を行ってこれらの骨折を予防することは大変重要です。骨粗鬆症の有病率は非常に高く、日本全国で1300万人の骨粗鬆症患者さんがいると推計されています。しかしその治療率は20~30%程度と低く、多くの方が未治療です。これは多くの方が無症状であることが原因と考えられます。腰背部痛の検査で骨粗鬆症と診断されることもありますが、多くの方は骨折後やその他の症状で受診した際に行う骨密度検査で診断されます。骨粗鬆症治療が必要な多くの方に治療を確実に行うため、当院では多職種で構成される骨粗鬆症チームを結成し、上越地域の骨粗鬆症治療率向上と骨折発生率の低下を目標に、院内の骨粗鬆症診療システム作りや啓発活動を行っています。

初期症状

多くは無症状です。背中が丸くなってきたり、健診などで身長が若い時より3cm以上小さくなったりしていたら要注意です。病院で骨密度検査を受けましょう。

予防・治療方法

若い時から食事でカルシウムとビタミンDを十分に摂取し、積極的に運動を行うことで丈夫な骨を作っておくことが重要です。女性の場合は閉経によるエストロゲンの低下のため骨粗鬆症になりやすいため特に注意が必要です。
骨密度値、脆弱性骨折の有無と数、年齢、血液検査データなどを参考に、種々の骨粗鬆症治療薬を使用します。カルシウムの吸収を助けるビタミンDに加えて、ビスホスホネートという骨吸収抑制剤を用いることが多いです。最近では、より強力な骨吸収抑制剤であるデノスマブや骨吸収促進剤(テリパラチド、ロモソズマブ)の使用も増加しています。

その他注意すべきこと

大腿骨近位部骨折や胸腰椎圧迫骨折を受傷した方は、再骨折のリスクが高いため骨粗鬆症治療を開始する必要があります。また様々な病気の治療のためステロイドというお薬を使用している場合は、骨粗鬆症を起こしやすいことがわかっており骨粗鬆症治療が必要となる場合が少なくありません。最近では糖尿病や慢性腎臓病、慢性閉塞性肺疾患などの生活習慣病患者さんにも骨粗鬆症が多いということがわかってきました。これらの病気をお持ちの方は、担当の先生と相談し積極的に骨密度検査を受けましょう。

上越総合病院
整形外科 部長
渡部 公正

掲載日:2020年05月07日