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A型肝炎

A型肝炎は、A型肝炎ウイルス(HAV)によって引き起こされるウイルス性肝炎です。このウイルスは汚染された生牡蠣などの二枚貝や輸入された食材などを食べることによって引き起こされると考えられています。発症すると比較的強い肝炎症状が見られますが、多くは一過性感染で終息します。

日本では衛生状態が良くなったため、A型肝炎の大規模流行が起こることはなくなりました。しかし、2018年は年間900人余りの感染者が報告されています。またA型肝炎はなぜか季節性があり、冬から春にかけて多い特徴があります。小児の感染では不顕性感染といって症状がないかあっても軽微ですが、成人が感染すると症状が強くでる場合が多いです。倦怠感や食欲不振が続く場合には血液検査を行うことが勧められますので、医療機関を受診してみてください。

初期症状

ウイルスに感染しても直ちに発症する訳ではありません、およそ2週間から6週間の潜伏期間を経て、発熱や倦怠感などの感冒様症状が現れます。さらに食欲不振や嘔吐などの消化器症状が出現し、黄疸や灰白色便が見られるようになります。この時期に血液検査をすると肝機能障害が認められます。

治療方法

A型肝炎に対する特異的な治療法はありません。一般的には入院して安静臥床のうえ、適宜血液検査をして重症化していないか把握が必要です。稀ではありますが、急性肝不全や腎不全を合併し重症化する場合があります。なお慢性化することはありません。

予防方法

手洗いなどの一般的な衛生管理ももちろん必要です。また生食用の牡蠣以外は避けた方がよいと思われます。なお牡蠣を100度の熱湯で1分間煮るとウイルスは死滅します。しかし、調理に使ったまな板や包丁から感染することもあるので、注意が必要です。また東南アジアなどのA型肝炎流行地に旅行する時には、A型肝炎ワクチンを接種することで予防することができます。予防接種による効果は数年続くと考えられています。

けいなん総合病院
副院長・内科
平野 正明

掲載日:2020年03月20日