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A群溶血性レンサ球菌咽頭炎

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は、A群溶血性レンサ球菌によって引き起こされる感染症で、一般的に溶連菌感染症と言われるものです。この菌は上気道炎や化膿性皮膚感染症などの原因菌としてよくみられるグラム陽性菌で、菌の侵入部位や組織によって多様な症状を引き起こすことが知られています。

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の流行期は例年11月~4月頃にかけて見られます。乳児から大人まで感染しますが、おもに幼児や学童を中心として感染が起こります。そのため、兄弟間で感染することが多く、家庭内や学校での集団感染に注意が必要です。また条件によっては学校等の出席停止の措置が必要な疾患になっているので、主治医の先生にご相談ください。

初期症状

菌が体内に入ってから、2~5日の潜伏期間を経て、突然の発熱、全身の倦怠感、咽頭痛などが現れ、嘔吐を伴うこともあります。また、のどの痛みに加えて、むくみ、扁桃腺の腫れなどがみられます。

治療方法

治療は抗生物質が有効で、薬を飲めば2~3日で症状が改善します。しかし自己判断で服薬を中止すると、リウマチ熱や急性糸球体腎炎などの合併症を併発するおそれがありますので、処方された薬を指示通りに正しく飲み切ることが大切です。重症化した場合には、猩紅熱(しょうこうねつ)を起こすこともあります。

予防方法

感染経路は、飛沫感染と接触感染になります。
飛沫感染は、感染者の“くしゃみ”や“咳”と一緒に飛び出した菌を吸い込むことによって感染することを言います。予防方法としてはマスクの着用やうがいを行うことが有効です。接触感染は、感染者が触れた物を触ったことにより手に菌が付着し、その菌が粘膜から体内に入ることによって感染することを言います。予防方法としては、流水による手洗いやアルコール消毒剤による手指消毒が有効です。

豊栄病院 検査科
臨床検査技師
松田 真由美

掲載日:2020年02月20日