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脂肪肝・非アルコール性脂肪肝炎(NASH)

近年B型、C型肝炎といったウイルス性肝炎は減少傾向ですが、生活習慣が原因となる非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease : NAFLD)、非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis :NASH)は増加の一途を辿っています。脂肪肝は肝臓に中性脂肪が多く溜まりすぎた状態であり、放置していると炎症を伴い、NASH発症のリスクが高まります。

初期症状

脂肪肝の段階ではほとんど症状はなく、血液検査で肝障害を契機に発見されることが多いです。アルコールをそれほど飲んでいないのに脂肪肝と言われたら要注意です。なお非アルコール性とは純エタノール換算で男性30g/日、女性20g / 日未満と定義されています(ビール缶500mlや日本酒1合が約20gのエタノールに相当します)。

治療方法

まずは生活習慣の見直しが大切です。食事療法・運動療法を実施して、肥満や糖尿病、脂質異常症、高血圧を是正することです。

予防方法

高カロリーな食事摂取を改め、食物繊維を多く取るようにしましょう。塩分も控え目とし、油分もバターや肉の脂身の取りすぎは避けましょう。代わりにオメガ3脂肪酸(青魚、えごま油、亜麻仁油など)を摂取すると良いと言われています。お酒も節酒を心がけましょう。
運動は有酸素運動、筋力増強運動ともに改善効果があることが研究データから示されています。まずはできることから始めて習慣化し、少しずつ運動量を増やしていきましょう。

その他注意すべきこと

非アルコール性脂肪肝の約1割がNASHであると言われています。さらにNASHの3~5割は徐々に悪化して肝硬変や肝がんに進行していくことがわかっています。アルコールを飲まないから心配ない、脂肪肝だから大丈夫、などと侮らずに一度は専門医への受診をお勧めします。早期発見、早期治療がとても大切です。

上越総合病院
消化器内科 副院長
佐藤 知巳

掲載日:2023年02月01日