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乳がん

乳がんは、女性のがんの中で罹患率が最も多いがんです。罹患年齢のピークが40歳代後半と60歳代前半であり、働き盛りに罹患することがあります。治療成績は、標準治療の進歩により、特に50歳代前半までで改善しつつあるとされています。一般的に、がんは早期ほど治療成績が良好です。

初期症状

乳がんは自分で発見できるがんと言われていますが、検診によって触知しにくいがんを見つけることができます。小さいがんは早期であることが多く、1人でも多く早期がんを見つけるために検診が推進されています。検診は、40歳以上の女性にマンモグラフィー検査が行われています。
また、50歳以下の若い方には超音波検査の研究も行われています。

治療方法

治療には手術治療、内分泌療法、内服・点滴抗がん剤治療、放射線治療があり、これらを組み合わせて治療を行います。がんの程度や種類により、標準治療といわれる組み合わせが決定します。遺伝子検査や薬剤の進歩により、組み合わせ方がどんどん増えています。そのため、ひとりひとりの標準治療法が異なる個別化治療が進んでいます。

予防方法

乳がんのリスクとして、喫煙、アルコールの多飲、肥満、運動不足が挙げられています。2022年の乳癌診療ガイドラインでは喫煙がほぼ確実、喫煙以外は、閉経前で可能性あり、閉経後でほぼ確実なリスクとされています。思いあたる方は、できることから取り組んでいただけたらと思います。また、乳がんの数%は遺伝性とわかってきました。遺伝カウンセリングも整備されつつあり、近親者に複数の乳がんの方がいる場合などは、病院に相談してみてください。

その他注意すべきこと

最近では乳がんを発見する方法として、自分の乳房を意識した生活習慣としてブレスト・アウェアネスの啓発が進められています。40歳を越したら、自分の乳房の状態や変化に気をつけ、変化に気づいたら医師に相談することや、2年に1度の乳がん検診を受けることが重要とされます。また、しこりが触れる場合は、検診ではなく必ず病院を受診してください。検診の検査は万能ではなく、わかりにくいがんもあるからです。

柏崎総合医療センター
一般外科・副院長(乳腺専門医)
植木 匡

掲載日:2023年04月03日