不整脈とその治療
不整脈とは、正常なリズムではない全ての脈の乱れのことです。正常な脈は、安静時に1分あたり50-80回(1秒に1回程度)で規則的なリズムのことですので、それ以外の場合は不整脈の可能性があります。

初期症状
不整脈の症状は多彩です。脈が速ければドキドキ等の症状が、遅ければダルさ等の症状がみられます。最も頻度が高い不整脈の一つである心房細動は、慢性的に慣れてしまうと、「最近疲れやすい」とか「すぐに息が上がる」など、あまり気にかからなくなってしまうこともあります。ただし、不整脈の種類によっては心臓が脳へ充分な血流を届けられず意識を失ってしまう(失神)こともあるので注意が必要です。
検査方法
不整脈診断の原則は、「現行犯逮捕」です。つまり不整脈が出現している時の心電図が捉えられて初めて診断が可能となります。発作的な不整脈の場合には、24時間心電図や自宅で計測できる携帯型心電計などで、発作時の心電図を記録していただくことになります。
治療方法
薬で脈を整える内服治療が基本となりますが、必要に応じてカテーテル治療などを組み合わせる場合があります。脈が速い不整脈の治療は、脚の付け根から3mm程度のカテーテルという細い管を心臓まで導き、不整脈の根本にアプローチするカテーテルアブレーションという方法があります。これは、不整脈の原因部位に直径5mm程度のやけどを作ることで不整脈を抑える方法です。治療中のご負担が軽減されるよう、当院では麻酔で寝ていただいている間に治療を行うようにしております。脈が遅い不整脈の場合には、ペースメーカで脈拍を上げることで症状の改善が得られます。
普段の生活で気にかけていただきたいこと
治療が必要な場合と、慎重な経過観察をしながら付き合っていける場合があります。不整脈の対応は早期診断が重要なカギとなりますので、動悸や息切れを感じたら放置なさらず、まずはお近くの医療機関を受診してください。

循環器内科医長
廣木 次郎
掲載日:2025年06月02日