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急性心膜炎・心筋炎

従来、多くは細菌やウイルスなどによって発症する心膜炎・心筋炎が知られていますが、最近では新型コロナウイルス感染症あるいは新型コロナワクチン接種後に発症する場合もあります。頻度は少ない疾患ですが重症化すると生命に関わる場合もあり簡単に解説いたします。

初期症状

多くの急性心筋炎患者ではかぜ様症状(悪寒、発熱、頭痛、筋肉痛、全身倦怠感)や食思不振、悪心、嘔吐、下痢などの消化器症状が先行します。その後、数時間から数日の経過で心症状が出現します。心症状には、①心不全徴候(出現頻度約70%)、②心膜刺激による胸痛(約44%)、③心ブロックや不整脈(約25%)、に随伴する症状があります。

治療方法

多くは入院したうえでの安静臥床と、バイタルサインや心電図、心エコー図、血液検査などの注意深い経過観察のみで改善します。しかし発症機序にアレルギーや自己免疫が関わっている心筋炎では、ステロイドや免疫抑制薬が有効と考えられています。又、心原性ショックの様な重篤な状態の場合には、一定期間経皮的心肺補助装置などの使用が考慮されます。

予防方法

心膜炎・心筋炎に特異的な予防方法はありません。多くの原因が細菌・ウイルス感染によって発症するため、現在新型コロナウイルス感染症予防のため行われている一般的な感染予防法が中心となります。

その他注意すべきこと

急性心膜炎・心筋炎の初期は、かぜ様症状と似ているため早期の診断が難しい場合が多いです。
そのため2021年7月21日に日本循環器学会から出された声明では、新型コロナワクチン接種後に、動悸・息切れ・胸痛等の症状が出現した場合は、速やかに医療機関を受診することを勧めています。

けいなん総合病院
副院長
熊崎 節央

掲載日:2022年03月18日