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ロタウイルス胃腸炎

ロタウイルスは乳幼児の重症急性胃腸炎の主要な原因病原体です。5歳までにほとんどの人が感染するとされ、世界では年間約50万人のこどもが亡くなっています(80%以上が発展途上国)。通年性に流行しますが、主に冬場から流行が始まり春頃にピークを迎えます。

初期症状

主に小腸の細胞に感染して増殖することで発症します。主な症状は下痢、嘔吐、発熱、腹痛で、通常1~2週間で改善します。短時間に激しい下痢を引き起こして重度の脱水をきたすことがあるため、特に乳児の場合には注意を要します。

治療方法

主に対症療法です。飲食ができず、脱水がひどい場合には点滴や入院が必要になることがあ
ります。大切なのは、“感染しても重症化させない”ことです。

予防方法

2020年10月からワクチンが定期接種化されました。ロタウイルス胃腸炎は初回感染時の症状が最も重く、2回目以降は症状が軽くなります。ワクチンはこの性質を応用して重症化を予防することを目的としており、ロタウイルス胃腸炎の約80%、重症に限れば約90%を予防する効果があります。普段、小児科医としてその効果を肌で感じています。
主な感染経路は糞口感染(接触感染)ですので、感染対策としては手洗い、おむつの処理、汚染された衣類・床などの次亜塩素酸消毒が大切です。

その他注意すべきこと

腸重積症や脳炎・脳症などの合併症を起こすことがあります。また、成人も感染します。こどもの入院に付き添う親御さんが感染して同様に苦しむ状況によく遭遇します。
ワクチンのことなど、分からないことがあればお気軽に小児科にご相談ください。

上越総合病院
小児科医長
坂井 知倫

掲載日:2022年03月18日