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E型肝炎

冬に旬を迎える食材としてジビエがあります。ジビエとはフランス語で、狩猟で捕獲した野生鳥獣(シカ、イノシシ等)の肉のことです。今回は、十分に加熱調理がされていないジビエや豚肉を食べることで起こる可能性があるE型肝炎について紹介します。わが国の全国集計では、本疾患に季節性はないとされていますので、その点はご承知おきください。

初期症状

感冒様症状(発熱、倦怠感、頭痛等)がありますが、感冒と診断される例が多く、この時点での診断は困難です。肝機能の悪化(肝胆道系酵素上昇や黄疸)がみられると、上述の症状に加え、食思不振、嘔気・嘔吐、腹痛が出現することがあります。これらは急性肝炎でしばしばみられる症状で、E型肝炎の特徴的なものではありません。一方、若年者では不顕性感染(感染しても症状が出ないこと)が多いとされます。

治療方法

通常の急性肝炎と同様に、臥床安静で肝血流の増加を促し、極期の食欲不振や全身倦怠感のあるときにブドウ糖主体の輸液を行います。ただし、重症化・劇症化移行の見極めは重要です。遺伝子型4型、高齢者、妊婦、基礎肝疾患を有する患者は重症化危険因子ですので、極期が過ぎるまで慎重な経過観察が必要となります。劇症化した場合は、血漿交換や肝移植などの治療が必要となります。

予防方法

ワクチンは現在のところありません(開発中)。ジビエや豚肉を十分に加熱調理して食べることが重要です。

その他注意すべきこと

わが国を含む先進国での話をしましたが、開発途上国では汚染された水の摂取により感染する(水系感染)ことが多いです。そのような国への旅行の際には注意する必要があります。

長岡中央綜合病院
消化器内科部長・副院長
髙村 昌昭

掲載日:2022年03月18日